古い自転車を整備していると、頻繁に出会うのが「まったく抜けないシートポスト」。

固定ボルトを緩めても、引っ張っても、ひねっても動かない。

長い年月をかけて、シートポストとフレームがガッチリ固着してしまっています。

今回手に入れた古い自転車も、まさにそんな状態でした。

このままでは整備を進められないので、いくつかの方法を試しながら固着したシートポストの救出に挑戦してみます。

同じように「シートポストが固着して抜けない」と困っている方の参考になれば幸いです。

では、早速今回入手したフレームの写真から。

BE-PALと書いてあるらしいです。

アウトドア雑誌『BE-PAL』の企画などで展開されたオールドマウンテンバイク。と調べたところ出てきました。「BE-PAL OUTDOOR COMPASS」のクロモリフレーム。26インチ規格です。

なかなかフレームの情報が検索しても出て来ず探すのが大変でした。

トップの画像にも載せていますが、問題のシートポストです。

フレームとシートポストの間にびっくりするくらい隙間がありません。

シートポスト以外にもBBやダボ穴にもパーツが残っていました。

ボトルのビスはプラスのネジ頭が舐めてしまっています。

こういったネジの救出方法もたくさんありますね。今回はメインではないのでおまけとして。ネジが抜けかけていたのでバイスプライヤーでネジ頭を掴み回して外します。

回っているのがお分かりでしょうか? 今回たまたまネジ頭がボトルの小物に接していなかったため、動画の工具で掴むことができました。運がよかったです。救出したらタップで切り直します。

BBは幸いにも固着しておらず、すんなりと撤去しました。

思ったほど錆びていなくてラッキーです!

本題のシートポストへ。

今回フレームは鉄、シートポストはアルミというこれも非常によくあるパターンです。

シートポストがアルミでよかったと本当に思います。なぜかというと最悪の場合サクサク切れるし、溶かす(フレームが鉄の場合だけ)ことも簡単だからです。

アルミは柔らかいので力の入れ方は気をつけなければ、予期せぬところで折れてしまいさらに状況を悪化する可能性もありますが、スチールやチタンとは異なりやはり柔らかいのでフレームの救出が成功しやすいです。

まず最初行うべきは、とにかく556を染み渡らせること!

まずはここからです。とにかくなんとしてもフレームとシートポストの間に隙間を作り、556を浸透させましょう!

非常にわかりにくいですがほんのちょっとした隙間でもいいので作ります。

そこから556を流し込みましょう!1回で入れるよりも数回に分けて様子を見ます。

ヒートガンなどお持ちでしたらシートポストが入っている部分をなぞるように温めてあげると油も浸透しやすくなります。

数日置いてからシートポスト掴み抜けるかトライしましょう!

満遍なく556が浸透してくれていたら、大体はここで外れます。

ただし今回のフレームに関してはぴくりとも動きません。もうこの時点で『あっ、ハズレだ』となりました!

さあ、次の作戦に切り替えます。

次は、シートポストに穴をあけシートポストを直接回すためのハンドルを通せるようにする作戦です!

ちょっとよくわからないと思うので、早速作業写真と動画を載せていきます。

まずは下穴から。シートポストに通すハンドルの径になるまで徐々に穴を拡張します。

これもアルミなので比較的サクサク穴が開きますが、こういうドリルで穴を開ける作業はドリルの刃に熱が入った時点で一気に切れ味が悪くなりそこから復活することはありません。         (ドリル刃を研ぎ直さない限り)

さらに、ドリルが対象物を削っていく際は初速の段階のほうがよく削れてくれます。上で話したように、回転速度が早い状態でドリルの刃を対象物に押し当て続けると熱が入ってしまうため削れなくなります。加えてドリルの回転トルクが初速段階の方が単純に大きいためです。

なので動画のように途中で止めたりして、ドリルの刃に熱が入らないようにしつつ、トルクの大きいところを利用して穴をあけています!

ドリルの径を上げていきます。

穴は貫通させます。

さらに径を上げていきますが、ドリルの刃を交換するのが煩わしいので便利道具を使います。

タケノコと呼ばれるこちらのドリル。φ4〜φ22まで径を広げれます。

このままφ16まで一気に加工します。

穴の拡張完了です。

それではハンドルとなる棒を通します。

どれくらい動いたかをみれるように印をつけておきます。

この状態になれば準備完了。あとはハンドルを左右に捻っていくだけです。

556も浸透させ、力を入れれるように工夫できました!

腕がちぎれるほど力を入れるも、微動だにせず、、、本当に1mmたりとも動きませんでした。笑ってしまうほどです!笑 ハンマーで叩いても変化なし。

次の作戦に移ります。

シートチューブ裏に割り入れがされているのですが、端部に穴をあけていきます。

通常このような割り入れをしている場合底の端部は丸くしていることが多いです。

これは端部を円形にすることで力を分散し、フレームが壊れるのを最小限にするために加工されていることが多いです。

絵で説明すると⬇️

赤い線が割り入れの溝を広げる方向の力。割り底に力が集中した際に円形になっていた方が広がる力が分散しクラックが入りにくくなります。

このフレームは加工されていなかったので、この際加工しておきます。またこの穴を開けることによってほんのわずかですが割り入れの幅が広がりシートポストにかかる力が緩むはずです。

気持ち程度でしょうか?隙間ができた気がします。しかし、シートポストは緩むことなく変化なしでした。

諦めずに次に作戦にいきます。

今回は試してみたかった方法でやってみます。ほぼほぼ最終手段ですね。

弓のこ刃を使用して地道に撤去するなんとも映えない方ほですが、時間はかかるものの確実に撤去できるやり方です。

まずは苦労してあけた穴の下ラインで切断します。

できるだけ短くなるように切っておくと邪魔になりません。

ギコギコしていきます。このシートポストは厚さがあるためサクサク切れますが割と大変。

切断完了。

次の工程で最後です。

とてもシンプルですが、まあ大変時間がかかります。要はシートポストの内側に割を入れてしまおうというわけです。

前後2箇所割ってみました。

これでも全く動きません。さらに2箇所左右にも割を入れていきます。

するとようやく動くようになりました。

死闘の末やっと撤去が完了です。

ここまでの所要時間3日と8時間ほど。

フレームへのダメージも最小限で作業できたのではないでしょうか?

ここでこの作業をする上で頭に入れておいてほしいこと。

最終的にシートポスト内部から破壊するこの方法は金属フレームだけに有効です。

さらにいうとフレーム側がシートポストより柔らかい金属や素材ではおすすめできません。

言わずもがなですが、カーボンフレームで同じようなことをすると、100%と言っていいほど気がついたらフレームをサクサク切っていたということがおきます。

シートポストの内側を弓のこの刃で切り進めていくと最終的にはシートチューブ内部に刃が到達します。

ここでシートポストアルミ✖️フレームスチールの場合。明らかに刃に伝わる振動が変わります。刃が当たる素材がアルミという柔らかい素材から鉄という固い素材に変わることで切れ方に違いが出ます。ここで止めようという目安ができます。

ですが、フレームの素材がシートポストと同様もしくは柔らかい場合、固い素材の感覚で切り進めていると、柔らかい素材に当たっている感覚というものが非常にわかりずらいです。切り粉を細かくチェックしていればわかりそうですが、大抵の場合フレームも切っています。

フレームをいためりこともあるというリスクもあるというのを理解して作業に入りましょう!

今回はかなり頑固に固着していたシートポストでしたが、なんとか無事に取り外すことができました。

古い自転車の場合、長年動かされていなかったシートポストは想像以上にしっかり固着していることがあります。力任せに作業するとシートポストだけでなく、フレームまで傷めてしまう可能性があるので、少しずつ様子を見ながら作業することが大切です。

それにしても、何年動かなかったのか分からない部品が動いた瞬間は気持ちいいものです。

同じように「シートポストが固着して抜けない!」と困っている方に、今回の作業が少しでも参考になればうれしいです。

まだまだ手を入れたいところが残っているので、この自転車の整備はもう少し続きます。

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resfeber(レスフェーベル)とはスウェーデンのことわざみたいなものらしいです。”旅に出る直前の不安と期待が入り混じって絶え間なくドキドキしているような状態”のことを表します。 そんな気持ちをいつも心のどこかで感じてもらえるような、製品やサービスを提供していけたらと考えています。